相続登記の具体例
たとえば札幌市在住のAさんが死亡したとしましょう。Aさんは札幌市中央区に不動産を所有していました。
このAさんが死亡した場合に、Aさんの不動産名義を、Aさんの相続人名義にする。
これが相続登記です。
いったい相続人のうち、誰の名義にするかというとそれは場面によって異なります。
場面は大きく3つに分けることができます。
①遺言書がある場合
Aさんが遺言書を遺していたとします。遺言書には、「私の不動産は長男のBに相続させる」と書いてあるとしましょう。
この場合は、遺言書に記載された通り、不動産はBの名義にします。B以外に相続人が複数いたとしても、遺留分減殺請求などの特段の事情がない限り、不動産はBの単独所有になります。
注意が必要なのは、遺言書は有効なものでなければいけない点です。遺言は厳格な様式行為であって、要件を欠いていて遺言書が無効だということは多々あります。少しでも不安があれば、専門家に相談することを強くおすすめします。
②遺産分割協議による場合
誰しもが遺言書を作成しているわけではありません。むしろ、遺言書は作成していない場合の方が多いでしょう。
では、相続人が複数いる場合で、不動産をそのなかの誰かの単独所有としたい場合、どのようにすればよいでしょうか。
この場合は、相続人の全員が集まって話し合うことをすれば、相続人のうちの一部の者の単独所有とすることが可能です。
この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。
なお、相続人のなかに認知症の方や知的障害の方がいたら、遺産分割協議ができない場面があります。
気になることがある方は、詳しくは専門家に相談しましょう。
③法定相続による場合
遺言書や遺産分割協議に基づかない場合は、「法定相続分」に従って相続登記をすることになります。
複数の相続人がいる場合は、各相続人が民法に定められた「法定相続分」にしたがって相続するのです。
なお、法定相続分で登記する際は、不動産は各相続人の共同所有になります。