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相続資格が重複したら?

相続資格が重複したら、二重に相続できる?


相続資格の重複とは、ある相続人が、被相続人に対して、二重に相続資格を有する場合(兄弟姉妹と配偶者資格など)を意味します。この場合、相続人は二重の相続資格分だけ相続することができるのでしょうか?

たとえば、次のケースについて考えましょう。

養子と代襲相続人の立場が重複

ケース①
被相続人Aが孫Cを養子にしている場合に、子Bが先に死亡しているとして、孫Cが養子としての立場と、孫(代襲相続人)としての立場を有する場合


兄弟姉妹と配偶者の立場が重複

ケース②
ある者の実子Dと養子Eが婚姻して夫婦になっているとして、そのうちの一方が死亡した場合(兄弟姉妹の相続資格と配偶者としての相続資格が重複)

日本ではケース①のような養子縁組やケース②のような婚姻が認められるため、このような「相続資格の重複問題」が生じてしまうのです。

見解は様々


相続資格の重複問題に真正面から切り込んだ裁判例は残念ながら見当たりません。

一方で、学説は様々あります。

相続資格の重複を否定する見解(説1)
民法で規定しているのはあくまで「相続人」であるため、一人につき、相続資格は一つしか認めないとする見解です。

相続資格の重複を肯定する見解(説2)
我が国の民法は身分関係に基づいて相続資格を付与する建前を採っているのだから、身分が二つあるのであれば、相続資格は重複するとする見解です。

血族相続人と配偶者相続人の重複は認めない見解(説3)
民法は血族相続人と配偶者相続人をわけて規定しているのだから、血族相続人としての相続資格の重複は認めるが、血族相続人資格と配偶者相続人資格の重複は認めないとする見解。

登記実務は


登記実務は、上記の説3(血族相続人と配偶者相続人の重複は認めない見解)を採用しています。

ケース①については、被相続人の養子としての相続分と被相続人の子の代襲相続人としての相続分とをそれぞれ取得することになります(昭26年9月18日民甲1881民事局長回答・先例集下1660頁)。

ケース②については、配偶者としての相続分のみを取得することになり、兄弟姉妹の相続分については取得できないことになります(昭23年8月9日民甲2371民事局長回答・先例集上850頁)。

登記実務はなぜ「説3」を採用するの?
民法の条文においては、やはり血族相続人と配偶者相続人は別系統とされています。

さらに、配偶者としての相続分は相当に大きいものであり、血族相続人としての相続分を認める必要があると言い切れないことから、登記実務は「説3」を採用しているのです。