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相続分がない旨の証明書は遺産分割協議書の代わりになる?

遺産分割協議書の作成が面倒…


相続人間で遺産分割協議をする際は、相続人の全員が参加した上で協議しなければいけません。
相続人のうちの一部の者が欠けた遺産分割協議は無効になるのが原則なのです。
遺産分割の要件については、詳しくは下記をご覧ください。

遺産分割協議の仕方


このような遺産分割協議は手間であるため、「相続分がない旨の証明書」で済まそうとする方がいます。
「相続分がない旨の証明書」についてここで説明しましょう。

「相続分がない旨の証明書」とは


そもそも「相続分がない旨の証明書」とは、被相続人からその生前に贈与を受けていたなどの事情により特別受益者に当たる者が作成する書類です。「私は相続分を超える贈与を被相続人から生前に受けておりました。よって具体的相続分はありません」と特別受益者が作成することで、それが相続登記における登記原因証明情報となるのです。

詳しくは下記をご覧ください。

特別受益者の「相続分がないことを証する書面」

虚偽の「相続分がない旨の証明書」を作成したら


裁判所の見解によると、虚偽に基づいて「相続分がない旨の証明書」を作成したとしても、相続人は相続分を失うことはないとされたものがあります。

相続分がない旨の証明書記載の贈与の事実がなかった以上は、これに署名・押印したとしても、相続財産に対する持分を失うものではなく、また、当該相続人に相続放棄の意思があったとしても、これを認めることで相続放棄制度の脱法行為となること、さらに当該書面は単なる事実の証明にすぎないから、贈与の意思表示と認めることもできない(名古屋地判昭和50年11月11日参照)


一方で、裁判所の見解として、事実に基づかずに「相続分がない旨の証明書」を作成した場合でも、無効ではない場合があるとした判断もあります。

当該証明書が本人の真意に基づくものかどうかを判断基準にして、相続人が自己の相続分について相続財産の分配を受けないという意思表示をしたものと認められるときは、これにより遺産分割協議の成立又は持分権の放棄ないし贈与を肯定する(東京高判昭和59年9月25日参照)


上記「東京高判昭和59年9月25日」の判断は、遺産分割協議が様式行為ではなく、協議は一堂に会して行う必要もないことが論拠です。

遺産分割協議書を作成するべき


このような「相続分がない旨の証明書」ですが、事実として特別受益がないのであれば、遺産分割協議書を作成するべきです。
後日のトラブル回避のためにも、遺産分割協議書に、相続人の全員が署名・捺印した方が安心・安全なのです。